環境問題を語るうえで切り離せない「プラスチックゴミ問題」
最近はコンビニでプラスチックカトラリーが配られなくなったり、大企業も少しずつプラスチック包装を減らしたりと、プラスチックの使用を減らす動きが感じられやすくなってきたでしょうか。
プラスチックを減らす理由とは?
たくさんありますが、海洋ゴミ問題が大きな要因になっています。
大量のプラスチックゴミが海に流れ出している
現在海には1億5000万トンものプラスチックゴミが存在しているといわれています。
さらに年間800万トンものプラスチックゴミが海に流れ出しているといわれています。
想像のつかない大きい数字ですが、飛行機5万機分に相当するそう。
あの巨大な飛行機が5万機・・想像を超える量ではないでしょうか。
しかも80%がアジア諸国から流れています。
日本沿岸だけでも回収される漂着ごみは年間約3万〜5万トン。
漂着ごみのうちペットボトルや漁網などのプラスチックゴミが占める割合は65%以上になるんだとか。
プラスチックが原因で命を落とす生き物たち
プラスチックゴミを誤飲し死亡する海の生物は後を絶たず、
海鳥の90%、ウミガメの50%以上がプラスチックゴミを食べ物だと思い誤飲したことがあると推計されています。
もちろんプラスチックは体内で消化できませんから、胃にたまり続け不健康に、胃が重くなり動けなくなったりして死亡に至ります。海の生き物の死骸から大量のプラスチックゴミが見つかるのは日常的に起きています。
廃棄された漁網に絡まって身動きできなくなり死亡する生き物も多く発見されています。
2018年夏には鎌倉市由比ガ浜でシロナガスクジラの赤ちゃんが打ち上げられ、胃の中からプラスチックごみが発見されたことを発端に、神奈川県では「かながわプラごみゼロ宣言」もされました。
どうしてこんなに大量に?
まずプラスチックは、石油から人工的に作られたものなので、生分解しません。
たとえばペットボトルは分解に約400年かかるといわれています。
もっと厚くて大きいものは半永久的に完全分解されないのではと思います。
プラスチックが頻繁に使われだしたのは1960年代以降。つまりこの世でつくられて自然界にながれたプラスチックゴミは全ていまだに残っており、あと何百年も残り続けるのです。
30年後の2050年には海は魚よりもプラスチックゴミが多くなると統計されています。現状を目の当たりにすると当然に思えます。
さらにプラスチックは日光に当たって劣化していく過程で、温室効果ガスを出すことがわかっています。レジ袋によく使われる低密度ポリエチレンはもっとも多く放出するそう。
プラスチック製は石油からつくられているため、生産される過程でもCO2を排出しています。もちろん捨てられて燃やされる際(日本では回収したプラスチックゴミの60%を焼却。リサイクルされていません)ももちろんCO2が排出されます。
さらに自然界に出て残り続け、環境破壊の要因になっているのです。
これほど大量のプラスチックゴミが出るようになってしまったのは
”使い捨て文化”が大きく関係していると思います。
ご飯や飲み物を買うだけでも大量のプラスチックゴミが出ますよね。日用品もなんでもプラスチック包装。
現に家庭から出るプラスチックゴミのおよそ80%が容器や包装です。
これを意識的に減らすだけでも家庭からでるプラスチックゴミ削減に大きく貢献できるはず。
どこから海に流れ出している?
大量に海に流れ出しているプラスチック。海の近くに住んでいないから関係ない~というのは大間違いなんです。
海洋プラスチックの80%は陸地から流出しています。
ゴミ集積所でゴミ袋から漏れたり(カラスがゴミを散乱させているのを見たことがある人も多いはず)、路上のゴミ箱からあふれ出たもの、誰かが拾うと思っているのかポイ捨てたもの、などが河川に流れ最終的に海へ。
実際に海辺に行ってみると、本当にプラスチックゴミが多い・・
ペットボトル、容器、レジ袋、コーヒーカップ、ストロー、ライターなどなど、、
台風や強風では植木鉢やビニールシートなど外で使用されているものも飛ばされ、いつも以上に被害が大きくなります。
また漂流する中で摩耗された5mm以下のプラスチック「マイクロプラスチック」も大きな問題。
さらに海洋プラスチックゴミの要因となっているのが開発途上国への輸出。
日本で出るプラスチックゴミは年間900万トン以上。
そのうちの150万トンほどを「資源」として他国に輸出してきました。
プラスチック原料の石油よりも、プラスチックゴミは非常に安く仕入れられる原料だそうです。
ですが、容器や包装などは汚れが残っていたり、ペットボトルも洗わず中身が残っていたりすると、洗浄にコストがかかるため、リサイクルにまわせず、結果として廃棄するしかないのです。
そもそも輸出先の途上国はゴミをリサイクルするシステムが整っていないので、使えないものはそのまま捨てられます。資源と銘打って大量に輸出しても意味がありません。
「海洋プラスチックゴミの排出量ランキング」というのがあるのですが日本は上位にはいません。
ですが、上位を占めているのは日本がプラスチックゴミを輸出している国。
日本やアメリカ、ヨーロッパが処理体制の整っていないアジアの途上国にプラスチックゴミを輸出することは、海への流出を加速させているといわれています。
日本はアメリカに次いでプラスチックゴミ廃棄量世界2位。
海洋プラスチックゴミに大きな責任があることは間違いなさそうです。
使い捨てプラスチックを減らそう
わたしたちができることは、使い捨てのプラスチックゴミを減らすこと。
野菜はできるだけ包装されていない裸のものを。卵も紙パックで買えます。
飲み物はペットボトルは買わないでマイボトルを持ち歩く。
レジ袋はもらわない、カトラリーやストローも持ち歩いて断る。
化粧品などの空いた容器は再利用できないか考えてみる(回収しているブランドもあります)などなど。
プラスチックゴミは分別すればOK、ではなく出さないことが大事なのです。
お買い物の際に選択肢として「プラスチックが少ないもの」を加えてみてくださいね。
もちろんゴミ拾いやビーチクリーンを実践するのも!
少しずつでも地球にやさしい選択をしていきましょう。